ごめんよ、おふくろ、出ないでくれな

 

 

どうしたことだろう

まだ、悲しいという

感情がわいてこない

 

寺の都合で長い間、

セレモニーホールとの付き合いになってしまった

 

おふくろが逝ってしまってから、

葬儀が終わるまで、

5日・・

火葬がいやだな、、

 

ほんとに

お別れという気がする

 

だが、

マインドコントロールが上手く行っている

 

悲しいより、

大変とか、忙しいとか、

別の考えることが

多すぎて、

おふくろのことあまり考えなくて済む

 

火葬の時、

考えないようにする

 

「お別れです、、」

もう冷たくなってるし、

 

骨になってしまった、おふくろの

骨を、

無感情で、拾えた・・

 

告別式だって、、

セレモニーの女性が

母の生前を、

涙を誘う演出で、、

うまいものだ、

さすがプロだな

 

でも、俺は、

上手く、柳のように

その涙を誘う風を

やり過ごす・・

 

おふくろは、骨になった、、

灰になった

骨になって、お墓の下に入った

 

賑やかだった、

孫たちも帰った、、

 

大丈夫だ・・・

 

だが、

俺にはどうしても、

おふくろに、

謝っても謝り切れない気持ちがあるんだな。

それを、無理やり押し込めて、

蓋をしてるんだな

 

いい顔で、ニコニコして、

でっかい、遺影が、

花に囲まれて

リビングに、

ど座っているんだな

 

これからは毎日

その遺影との、

闘いになるんだな

 

夜は、

頻尿の俺が

トイレのとき、

リビングを横目で・・

 

夜中に5回は行くトイレ

 

こわいんだろうな

毎晩

 

たのむから、

出ないでくれよな

おふくろ!

 

 

 

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考えるな!

 

 

 

朝、スマホのコールで起こされた・・

 

相手の表示で、、

何がおきたか、すぐ、わかるわ

 

施設から、すぐに来てくれとの事なので、

着替えをしていると、

また、スマホが鳴った

 

間に合わなかった~

 

何も考えるな!

坦々と事を運べ!

これから数日、、

ひとつずつ、、

やる事をやっていく、

 

しばらく、

広いところとか、

空とか、

見ないように、決めた!

 

聞くところによると、

少し手を動かしたくらいで、

苦しまずに逝ったそうだ

 

かかりつけ医が来て、

死亡診断書に「老衰」と書いて、帰って行った。

 

一度家に帰り、葬儀社の手配をして・・・

 

 

おふくろは、セレモニーの一室で寝ている、、

掛け布団の下は

まだ、あの、食べこぼしがいっぱいついた、、ズボンをはいて、

 

もう少し、最後の方、

何とかしてやれなかったのか・・

葬儀社の人にも恥ずかしいわ

 

妻が、おふくろの着物を持ってきて、

それに替えてもらうそうだ、、

 

従弟夫婦が駆け付けた、、

 

従弟が声を上げて、、泣いた

「おばちゃん!」

 

何も考えるな!!

 

入れ替わるように、従妹夫婦も来た

「おばちゃ~ん!」

これまた、泣いたわ!

 

・・・

おめえっら、、

 

役者だなあ~

 

まあ、俺だって同じだ、、

いや、もっと役者だ

 

ありがとう、、来てくれて

 

ほんと、ありがとう、

おふくろも喜んでるよ、、

 

5年も、入っているうちに、

甥も姪も、

 

いい役者になったわ~

よかったなあ、

おふくろ

 

これからしばらく、

ほんと、しばらくぶりに、

役者たちと

会えるぞ? おふくろ

 

ほんとに

良かったな!

 

やっと、そばに居れるな!

おふくろ!

 

 

 

 

 

 

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秒読みなのか・・

 

 

 

施設から

「3日ほど食べることが出来なくなった・・」

と連絡があった、、

 

そして、数日後、

「相変わらずで、、水も呑み込めないようだ・・

会いに来てほしい」と連絡があった

 

かかりつけ医からは

終末に入った・・と、

しかし、施設の経験から、

身体の動きなどから、

 

終末はまだ、早いのでは?

との事だが、

 

「これからは、なるべく

会いに来て欲しい・・」と

 

だって、コロナ以後、

会いたくても、何故か会いに行き難い雰囲気でね、、

職員さん達もね、、そんな感じだったし

 

言い訳はいくらでも出来るんだな

 

妻と二人で会いに行きましたよ

 

おふくろの部屋のフロアは全員、

コロナ対策で、隣にお人払いされていて、、

 

おふくろは車いすで、

久しぶりに対面したが、

 

もう、喋れなくなっていた

 

眼は虚ろで、

開いたり閉じたり、

 

手を握ると、少し握り返したりしたが、

感情は、わからない

 

おふくろのマスクに耳を近づけると

かすかに、

弱い息づかいがきこえる

 

何を話しかけても、、特に

反応はない

 

5年前までの

あの、おふくろの部屋での、

ぐちゃぐちゃな

感情のやり取り・・

 

「わたしが死ぬときはこの歌で送ってくれや!」

 

その曲を二度、奏でた

 

聴こえたか?、、おふくろ!

 

反応は、ねえや

 

妻は、

ボロボロ泣いている

 

泣けはいいというものではない

俺はこの人のおかげで、

おふくろにどれだけ親孝行のリミッターをかけてしまったか、、

 

俺の身を案じ、、

献身的に俺の病に向き合い、してくれたことは

感謝のしようがない

 

だけど、こと、おふくろに関しては

どうしても、

・・・

・・・

まあ、いい

 

やってくれたことはどう考えても

普通より、上なんだろうな・・・

 

 

おふくろを見ながら思った

 

この感情は何だ?

かなしいのか?

 

おふくろにしてみれば、

最後のたよりは俺だけなのに、

 

おれは、

施設に入れてから、

気持ちが余計につらくなった

だが、その気持ちに蓋をして

 

忘れるようにした

そして、少なからず、忘れることが出来ていた

 

これが、親子の情か?

 

痛くても、辛くても、

施設では俺に頼ることができねえし、

第一、認知症で、

何がどうなのか?、どうしたらいいのか?

いつでも、???の連続だったはず

 

そんな時、

頼る人に自分から連絡も出来ない

どんな思いだったろう

 

もう、何も答えてくれなくなった、おふくろ

 

帰りの車の中でも、

俺は悲しいのか、どうなのか、

感情がわかなくなっていた

 

自分で心に蓋をしていたんだな

それになれてしまっているんだ

 

もう、ながくないだろうな

 

コロナを言い訳に、、

荷物を降ろした俺だったが、

 

これから、俺の心に

何が残るのかな

 

 

 

 

 

 

 

 

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