憂鬱な気持ちで
施設に母を迎えに行った
母は嬉しそうに
玄関に出てきた
もの凄く嬉しそうに
「よかったね~
行ってらっしゃい~」
と、職員さん2人に送られて
俺の家までわずか10分
「嬉しいよう~
連れ出してくれて、、
親孝行の息子と、いい嫁をもって、
私は幸せだよ~」
先月、施設に入ってから
何故か、小さくなっていたように見えた
母の眼は
以前の眼に戻っていた
と、スタートは
予想していた通りで、
俺の頭は、
施設に送り届ける
午後3時30分に
母の様子がどうなのか?
母を落胆させずに施設に入るには
どうすればいいか?
そればかり考えている
こういうとき、
俺よりも力を発揮するのが
ネガティブな俺に対して
表向き超ポジティブな妻なんだな
それに、影ではどう思おうが、
影で、何を言おうが
母の前では、良い嫁なんだな
本当、見事だぞ
母が耳が遠いので、
会話をしながら
聞こえないように
「そりゃあ、違うわ
ばあちゃん、あんたは
昔は相当強い女だったぞ~」
「ちょっと、まった~
人のこと言えるか~?」
最近は俺がキレる寸前が
よくわかってるから
ギリギリで止めるのも上手いな
それに母は今となれば
気持ちは
俺が頼り=妻が頼り
妻の言うことは
よく訊くし、その通りにする
で、小声で悪口をいいながらも
母が喜ぶ昼食をつくり
母を笑わせ
話を良く訊き(小さい声で否定しながら)
手のひらのマッサージ
さらに、フェイスマッサージまで
母にしてくれて
やることやってるから
聞こえない悪口は
俺は
目を瞑ってやるがね
まあ、だけど
こんなふうに後方支援だから
というのもあるし、
同居の在宅介護だったりしたら
お互いボロボロ(俺も含めて)になっただろうが
それにしても、
この状況では
完璧な後方支援と言える
母に一生懸命、施設に行ってくれることの
感謝や励ましも今回はしてくれた
俺がそればっかりで、、もううんざりだったので
代わりに言ってくれていた
母は午後2時頃には
「そろそろさあ
私のネグラに送ってもらうか」
?
思いがけないことを言った
そのとき
妻が母の相手を一休みをして
コタツで仕事に手をつけていた
「私がいたじゃあ、
仕事のじゃまになるでさあ
そろそろ帰るわ」
自分が施設に帰る、、、と
認識してくれてるのは
俺にとって嬉しいことだった
施設の中の愚痴も言っていたが
少し慣れてくれたか?
「え?まだまだ、、
ばあちゃんにフェイスマッサージ、
これからしてやるだよ~」
と、妻も
その後の1時間で
母が帰るということの余裕か
まあ、婆孝行に勤めてくれた
トイレも2回だけで
失敗もなく自分で出来たから
潔癖症の妻もホッとしただろう
そのおかげか、
帰りもスムーズで
施設の玄関で迎えてくれた職員さんに
「だだいま~」
・・・
まあ、上手くいきましたよ
夕べはおいしいお酒がのめました
ただ、
希望も述べていましたね
「お前がちょくちょく、もっとちょくちょく
来てくれりゃあ、、それに〇〇(嫁)も、
一人でもいいで面会に来てくれりゃあ、
私も安心して、嫌なことがあっても
頑張れるでな」
帰りの車の中で
そう言っていたね
だから
家に帰って
妻に「一人でもいいで・・」
と伝えたがね
で、母は帰りの車中で
俺に、
「ちょっとお前に相談があるだけどな」
昔働いていた
東京の海苔問屋に
働きに行きたいそうだ
10代のころ勤めていたところの社長が
「〇〇ちゃん、是非また働きに来てくれ」
と言われていたから、これから行きたいそうだ
そうすれば、お金ももらえるし、
社長や奥さんたちも喜んでくれるんだそうだ
母が10代・・・
70年前か
俺は
「ほう~
社長も元気でいるだかなあ
今、幾つくれえかなあ」
と、とりあえず
返事しといたが
母は
考えているようだった
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